『初対面』

その後、女性の年齢が少々高いこともあり、なかなかお相手をお勧めすることが出来なかったが、このお客様はエステプランを、今度はちゃんと料金を支払ってご利用され、その帰りに事務所に立ち寄ってくださったりしていた。
気になっていた髪型も美容院できれいに整えられ、初対面のときの印象より、確実に10才は若返られたように感じた。
入会からちょうど2ヶ月がたったころ、また社長の知人から紹介されたという一人の女性が来店された。
この女性は、40代半ばではあるが、小柄なためかまだ30代でも通るくらい若々しく見えた。
もう高校を卒業するような娘さんがいるようにはとても見えなかった。
まだお子さんの小さい時に離婚され、その娘さんの就職も決まり、やっと気持ちが落ち着いたら、心にぽっかり穴が開いたような気持ちになってしまったという。
ショッピングセンターの食品コーナーで働いているこの女性は出会いがなく、子育てのため趣味も持たなかったというのだから仕方がないのだろう。
わたしは、面談の途中から、この女性と初めての男性客を合わせて見たい気持ちになっていた。
何とかその気持ちを抑えながら、面談終了。
このお客様もエステプランをご利用されることになった。
1回目のエステプラン後、事務所で例のお客様の写真(もちろん最近のものに差し替えた写真ですが)を見せて面談を促す。
男性の年齢を聞いて、初めは躊躇されていたけれど、わたしの勢いに押され、喜んで面談を決意してくださった。
面談前日にエステを受けられ、いざ面談当日。
社長の知人のイタリアンレストランを格安で予約し、映画の割引券を事前に男性客にお渡ししておいた。
待ち合わせは、この事務所だ。
年輩の登録者も多いため、初対面はほどんどが事務所で行われる。
やはり男性は、約束の時間よりかなり早く来られ、わたしとお話して何とか緊張をほぐしているようだった。
女性到着後、簡単にお互いを紹介し、わたしを交えてコーヒーを飲みながら共通の話題のエステや、子どもさんの受験の大変さなどをお聞きしたりで、和やかな雰囲気になったところで、レストランへの移動をすすめる。
事務所を退室するときに、男性客が不安な表情で振り返られたので、笑顔でガッツポーズを返しておいた。



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